「短期ビザで来日した婚約者と結婚の届出をした後、そのまま結婚ビザへ変更することは出来るのか?」
弊所には毎日、様々なご相談を多数頂きますが、一番多い内容かもしれないですね。
入管法の上でも、短期ビザからその他のビザへの変更については「やむを得ない特別の事情」が必要とされています。つまり、普通の変更よりもハードルが一段階高いということです。
(入管法第20条第3項)
法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。
ネットで調べると、「やむを得ない特別の事情が必要」と言及している記事はたくさんありますが、「何がやむを得ない特別の事情なのか?」について述べている記事はほとんどありません。
そうすると、お客様は実際に電話をして問い合わせをするわけですが、問い合わせの結果もバラバラだから余計に混乱します。
「電話で相談してみたら、出来るという人もいれば、出来ないという方もいて、どちらが本当かわからないんです・・・」
「別の事務所で同じ相談をしたら、その方は可能だと言っていました!!」
など、本当に色々な声を聞きます。その種類があまりにも多すぎて、正直、私の方が頭を抱えてしまうくらいです(笑)。
では、何が本当かといえば、「短期ビザから結婚ビザへの変更が可能かどうかは、申請の内容、申請時点の状況、申請先の入管の取扱いによって異なる」というのが正解です。つまり、お問い合わせ頂く内容によって答えが異なるので、一律に正解は出せないのです。
ですから、簡単に「できるよ~」と安請け合いするのも問題ですし、頑なに「出来ません!!」と言い張るのも不正解というとこになります。
例えば、東北や九州には、短期ビザからの変更は絶対に認めないという出張所が存在します。そんな所に頑張って申請しても、結果が伴わない事は目に見えています。私が電話相談を受けている際、必ず「どちらにお住まいですか?」と尋ねるのは、そのような事情があるからです。
それから、地方入管でも変更許可が出やすいところと、時間が非常にかかるところがあります。在留資格認定証明書交付申請の方が審査期間が短くて済む場合もあるくらいです。さらに面倒なことに、入管内の人事ローテーションがある関係で、この傾向は時期によって異なります。このような審査傾向の把握は、一般の方には不可能で、この辺りの情報は一部の専門家しか握っていません。
また、短期ビザで入国時の状況も、結果を左右することがあります。弊所に「短期ビザ申請と結婚ビザへの変更」をセットでご依頼頂いた場合、「結婚ビザへ変更しやすい短期ビザによる入国状況」というものを作り出します。こうすることで、一本、筋の通った申請書類を作ることが可能になり、許可可能性もグンと上がります。
他方、入国したときには、結婚ビザへの変更など、ほぼ無理という場合もあります。こういう場合は、残念ながら在留資格認定証明書交付申請を行うことになります。この辺りの判断を正確にできるかどうかが専門家の仕事ということです。
下記の方は、4月に弊所で短期ビザから結婚ビザへの変更申請が許可された方です。東京入管の管轄内にお住まいの方でしたが、品川入管へは申請せず、他の出張所へ申請をして3週間で許可が下りました。
何故、この申請を出張所に出したかといえば、そちらの方が速く処理されるし、許可が出やすいという事を知っていたからです。この辺りは、自分の申請を通じて感覚的に把握しているもので、具体的な比較があるというわけではないのですが、その違いが分かるかどうかというのは経験によるものとしか言いようがありません。